Aloha Knowledge Vol.4

第4回_ラーイエイカヴァイ

Vol.4_Lāʻieikawai

執筆 神保滋

 第二回で、ハワイ島マウナケア山に住む雪の女神、ポリアフの伝説を紹介しました。ポリアフはカウアイ島からやってきた王族のアイヴォヒクプアと恋に落ち、ふたりは結ばれます。しかし、結婚を目前にして破局を迎えてしまう悲恋の物語。

 そのアイヴォヒクプアが、そもそもハワイ島にやってきた理由が、絶世の美女ラーイエイカヴァイに求婚するためでした。アイヴォヒクプアはラーイエイカヴァイに思いきりフラれます。それで、彼はポリアフのもとへ行くことになるのですが……。

 では、なぜカウアイ島にいたアイヴォヒクプアが、遙か離れたハワイ島に住むラーイエイカヴァイのことを知ったのか。それは、カウアイ島の王族のひとりが、ラーイエイカヴァイに会っていたからです。彼からラーイエイカヴァイの美しさを聞いてしまったアイヴォヒクプアの心に、火がついてしまったのでした。

 

 ラーイエイカヴァイに会うことができたラッキーな王族の名前は、カウアカヒアリイと言います。

 カウアカヒアリイには、カイリラウオケコアという奥さんがいました。けれど、カイリラウオケコアは深い眠りに落ちると目を覚まさなくなってしまいます。カウアカヒアリイは妻の目覚めを辛抱強く待ちますが、何年も彼女は眠り続けたまま。仕方なくカウアカヒアリイは新しい妻を求めて旅をします。そしてハワイ島で出会ったのがラーイエイカヴァイでした。

 その後カイリラウオケコアが目を覚まし、カウアカヒアリイは妻のもとに戻ることになります。めでたしめでたしですが、ラーイエイカヴァイへの未練はきっとあったでしょう。その思いが、アイヴォヒクプアに継がれた、というかたちになったわけです。

 さて、そのカウアカヒアリイがラーイエイカヴァイに会うくだりですが、それがとても面白いのです。伝説から抜き出して紹介しましょう。

 

 カウアカヒアリイは使いを通してラーイエイカヴァイと接触します。使いの者は、彼女からの伝言を授かって戻ってきます。約束の夜、彼女を待ち続けるように、とのこと。そして、いつ彼女が姿を現すのか、こと細かに伝えてきました。

 “はじめにオーオー鳥が鳴きます。まだ私は出かけません。次にアララー鳥が鳴きます。でもまだです。エレパイオ鳥が鳴いたとき、出かける準備を始めましょう。そしてアパパネ鳥が鳴いたとき、家を出るでしょう。最後にイイヴィ・ポーレナが鳴いたとき、私は姿を現すでしょう”。

 約束の夜が来ました。カウアカヒアリイは、彼女が来るのを待ちます。まず、オーオー、アララーが鳴きます。エレパイオが鳴くころには真夜中になっていました。空が明るくなってきたころにアパパネが鳴きます。そして朝日が昇り始めたとき、イイヴィ・ポーレナが鳴くと、霧の中からラーイエイカヴァイが現れたのでした。

 

 鳥が順々に鳴いて最後に姿を現すなんて、なんとも幻想的ですね。そして、カウアカヒアリイはラーイエイカヴァイと結婚……とはなりませんでした。長い眠りから覚めたカイリラウオケコアが、夫を追ってハワイ島までやってきたからです。間一髪、間に合ったカイリラウオケコアは、夫と一緒にカウアイ島まで戻ったのでした。

 

 このエピソードをモチーフにしたハワイアンソングがあります。いろんな鳥が鳴いていくくだりで、もうお気づきの読者もいることでしょう。フランク・カワイカプオカラニ・ヒューエット作、ショーン・ナアウアオのヒットソング「カ・ピリナ」です。歌詞にはラーイエイカヴァイの名前は出てきません。ですから、この伝説を知らないとラーイエイカヴァイの歌とは気がつきません。

 歌詞一番から鳥が順番に登場します。ただ、少し数が減っています。オーオーやアララーは出てきません。

 歌詞二番に出てくるカ・ヴァヒネ(女性)という単語。これはもちろんラーイエイカヴァイのこと。

 そして、サビでは“ふたり結ばれましょう”と歌われますが、結果はすでに書いた通り。奥さんの目が覚めちゃいましたからね。

 以下に対訳を載せましたのでご覧ください。

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。次回のアロハ・ナレッジでお会いしましょう。

対訳

カピリナ

Ka Pilina

by Frank Kawaikapuokalani Hewett

対訳:神保 滋

 

おしゃべり エレパイオの

更けていく その夜に

さえずる アパパネ

その声の 美しさ

結ばれる ふたり

結ばれる ふたり

 

聞こえる 夜明けの

歌声はイイヴィ・ポーレナ

やってくる あの女性が

導かれて 鳥たちに

結ばれる ふたり

結ばれる ふたり